top of page

​3ー2.繊維および繊維複合材料(FRTP)外部情報(2020年以降)

(9)2024年

.*3mmの厚さで射出成形できる超高強度炭素繊維強化コンパウンド MONOist 2024/02/26 https://monoist.itmedia.co.jp/mn/articles/2402/28/news052.html

三菱マテリアルトレーディングは「新機能材料展」に出展し、射出成形用の超高強度炭素繊維強化コンパウンド「KyronMAX(カイロンマックス)」を披露した。特殊なコンパウンド技術を採用することで従来の射出成形用プラスチックよりも高強度/高剛性を発現している。具体的には、強度が一般的なガラス繊維強化樹脂と比べて強度が70%以上、一般的な炭素繊維強化樹脂と比べて30%以上高くなっている。

短い炭素繊維を採用しているため隙間にも行き渡る。さらに、長い炭素繊維を用いた樹脂では難しい複雑な形状や2mm以下の厚さにも対応できる。実績としては0.3mmの厚さで射出成形した事例もある。加えて、専用の接着剤を使用しベースの樹脂と炭素繊維の密着性を高めることで、高靭性/高強度の部品を射出成形できるようにしている」と話す。

*共和製作所、亜麻繊維素材のインシュレーター「SJ-NFRP」。サウンドジュリアと共同開発 Yahoo News 2024/01/22 https://news.yahoo.co.jp/.../b7d48de37d7bcee93350ea128a8f...

(株)共和製作所は、オーディオショップ「サウンドジュリア」と共同開発した「亜麻繊維とエポキシ樹脂からなるインシュレーター」を1月28日より発売する。

亜麻繊維複合材は、炭素繊維複合材料CFRPと置き換え可能な剛性感を持ちつつ、軽量で高い振動減衰性も兼ね備え、単体での使用はもちろん、メタルベースと併用することでさらに効果を引き出せる。CFRPよりも製造時のCO2排出量が低く、廃棄時には焼却も可能。

*オリーブの廃材から自動車部品、フォードの研究プロジェクト

日経XTECH 2024/01/16 https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/news/24/00049/

米Ford Motor(フォード)は、ドイツ・ケルンにある研究開発拠点でオリーブの廃棄物から自動車部品を製造することを目指した研究プロジェクトを進めている。今回、オリーブの木を剪定した際に出る枝などの廃棄物を使ってバイオ複合材料を製造し、射出成型によりフットレストを試作した。実際に車両に搭載して試験したところ、十分な耐久性があることが分かった。

試作品は、オリーブの木の繊維40%と再生ポリプロピレン樹脂60%で構成された。フォードの小型車、「Focus」用のフットレストを作成し、実際のテストやシミュレーションを行ったところ、このバイオ複合材料が自動車部品に適していることを確認できた。今後、量産に向けた生産技術の確立などを進める必要があるものの、同社は次世代のフォード車両に採用することを目指して研究を続けている。

(8)2023年

 

CFRP板材をプレスする新成形法、空飛ぶクルマなど次世代軽量部品を視野

日経 XTECH 2023/12/05

https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00001/08674/

金沢工業大学革新複合材料研究開発センター(ICC)は、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)板をプレスして複雑形状の部品を得る工法を開発、「IPF Japan 2023(国際プラスチックフェア)」に出展した。薄いリブを伴う形状も得られる。

用途は軽量さと強度が必要な複雑形状部品、例えば、“空飛ぶクルマ”のような装置の部品などを見込む一方、様々な用途に適用できるとして開発を続ける。

開発した製法では、テープ状の炭素繊維(CF)を熱可塑性プラスチックで固め、厚さ数mmの平板にした素形材を使う。CFが集まった幅10mm程度、長さ20~30mm程度のテープ片をランダムな向きで敷き詰め、熱可塑性プラスチックを合わせて板状にしたものだ(図1)。これを熱して軟らかくしておき、油圧サーボ方式のプレス機で押して成形する。

*クモの糸を吐く遺伝子組み換えカイコから防弾チョッキ用ケブラーの6倍丈夫な繊維が生産可能に
  GIGAZINE 2023年09月21日 https://gigazine.net/news/20230921-ultra-tough-spider-silk-fibers/
*中国東華大学の科学者たちが、遺伝子を組み換えたカイコからクモの糸を合成し、防弾チョッキに使われるケブラーの6倍も丈夫な繊維を作り出したと発表。遺伝子編集技術のCRISPR-Cas9を用いて編集したプラスミド混合物を卵に注入し、クモの糸を紡ぐカイコを誕生させた。カイコから得られた繊維はケブラーの6倍以上の靱性を持ち、引張強度も優れている。
*今回の研究により、人工的に生成したクモの糸以上に強靱な繊維の商業化が促進されることが期待される。「クモの糸の商品化への道が開かれ、合成繊維の代替品として有望な可能性をもたらす。

*強度と耐衝撃性を両立した新たなセルロース繊維強化樹脂、低コストで製造可能 MONOist 2023/05/25

https://monoist.itmedia.co.jp/mn/articles/2305/22/news049.html

*古河電気工業は強度と耐衝撃性を両立したセルロース繊維強化樹脂「CELRE」を開発した。セルロース繊維を51%含有する「CELRE KCPグレード」の他、強度と耐衝撃性を両立した「CELRE DFグレード」の2タイプで展開する。

*CELReではセルロース繊維のナノ化や疎水化を経由せず、熱可塑性樹脂にセルロース繊維を直接分散する独自プロセスにより、必要とするエネルギーが少なく、低コストで製造が行える。

*μmオーダーのセルロース繊維を分散したCELReは、ベース樹脂のポリプロピレン(PP)より弾性率が向上し、熱膨張率が低下する他、粉砕/成形を繰り返しても強度低下が少なく(4回で10%未満)、マテリアルリサイクルに応じ、従来のプラスチック成形機/金型で射出成形が可能だ。

##本記事は、2/17に掲載した記事と同一内容です。前回の記事は、一部のみ無料で、後は有料だったので、主内容が分かりませんでしたが、本記事では全容がわかります。

*CFRP製モビリティ部材の成形速度が従来の10倍となる、高速一体成形技術を開発 東レ fab cross エンジニア 2023/02/17

https://engineer.fabcross.jp/archeive/230217_toray.html

*東レは2023年2月16日、炭素繊維複合材料「CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics)」製モビリティ部材の高速一体成形技術を開発したと発表した。CFRP製モビリティ部材は、コア材として軽量な炭素繊維多孔質材料「CFRF(Carbon Fiber Reinforced Foam)」と、スキン材として力学特性に優れる熱硬化性プリプレグを使用したサンドイッチ構造体を有している。

開発した技術で自動車ルーフをモチーフに作製したCFRP製モビリティ部材にて、従来のオートクレーブ成形と比べ成形速度が10倍という高速一体成形を達成。また、スチール製モビリティ部材と比べて50%軽量化している。

*具体的には、プリプレグの硬化タイミングとCFRFの特徴である膨張を同期させ、短時間で一体成形している。また、プリプレグの熱硬化樹脂が多孔質体であるCFRFに浸透することで、スキン材とコア材が接着剤を使用することなく接着され、信頼性の高い接合構造を形成する。この技術により、CFRP製大型部材の高レート生産が期待できる。また、従来のコア材よりも強度、弾性率、耐衝撃性に優れ、低比重(0.2~0.4)のCFRFは、サンドイッチ構造体の高性能化と軽量化を実現する。

*実証モデルとして、プレス成形機にて、自動車ルーフの大型パネル部材(1.2m×1.2m×厚2.3mm)を成形速度10倍の5分で成形。剛性試験、塗装性、遮音性など自動車向け実用性を評価したところ、従来のスチール製と等価剛性で、50%の軽量化を達成している。特に重要となる落錘衝撃試験では、スキンコアの界面剥離を発生させず、優れた衝撃吸収性の発現を確認した。

*今後、モビリティの電動化に対応する、軽量化や高レート生産が要求される部材での早期実用化に向け、研究、技術開発を推進していく。将来的には、軽量素材の価値を最大化できるUAM(アーバンエアモビリティ)や、ドローンなどのニューモビリティに代表される新領域への展開も目指す。

*東レ、CFRP活用モビリティ部材 一体成形技術を開発 2023.02.17 日刊自動車新聞

https://www.netdenjd.com/articles/-/280661

*東レは16日、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を用いたモビリティ部材の一体成形技術を開発したと発表した。「コア材」となる炭素繊維多孔質材料(CFRF)を「スキン材」のCFRPで挟むサンドイッチ構造で、金型内で形状賦形から熱硬化成形、CFRPとCFRFの接着を可能とした。2030年ごろにルーフなど一つの大型成形部品で10億円の売り上げ規模を目指…

**この後は有料記事で読めません。

どなたか、有料登録されておられる方がおられましたら、内容を教えてください。

*LIXILが「FORCE CARBON」のティザーサイトを公開 炭素繊維強化樹脂(CFRP)の複合化技術を建材に展開

Lixil プレスリリース 2023/02/02

https://mag.tecture.jp/product/20230202-82468/

*住宅設備・建材メーカーの業界最大手、LIXILが、炭素繊維強化樹脂(CFRP)の複合化技術「FORCE CARBON」のティザーサイトを立ち上げ、2月1日に公開しました。
昨年12月21日に発表していた、炭素繊維強化プラスチックを使用した製品の開発を本格化していくもの。

「FORCE CARBON」とは、軽量でありながらも高い強度を併せ持つCFRPを、他の素材と最適な構成で複合する技術の名称です。
窓サッシを核に同社の主要商品ラインアップを展開するLIXIL Housing Technology(LHT)による素材と製品開発から生み出されたもので、CFRPの軽量、高強度、高断熱性、高耐久性などの素材としての優位性に着目し、長年にわたって育まれてきた技術力を礎に、LIXIL独自の新技術を確立したとのこと。

*「FORCE CARBON」の技術を用いることで、住宅性能を向上させるほか、高い強度により、これまで実現が難しかった極限まで無駄を削ぎ落した、美しく洗練されたデザインの製品開発が可能となります。
また、CFRPを使用することで、製品全体の材料使用量を減らし、軽量化を図ることで、輸送時の環境負荷の低減や施工時の作業効率の向上にもつなが
ります。

*廃プラスチックと廃木材を融合したLIXILの新しい素材「レビア」が登場 AXIS web magazine  2022/12/19

https://www.axismag.jp/posts/2022/12/512530.html

LIXILは、廃プラスチックと廃木材を融合した、循環型素材「レビア」を開発した。第1弾製品として、舗装材「レビアペイブ」を2023年1月10日(火)より全国(離島を除く)で販売開始する。

*レビアは、これまで再資源化が困難とされてきた複合プラスチックや海洋プラスチックなどの廃プラスチックと、建築物の解体や補修などから出る廃木材を融合した素材。同社が多種多様なプラスチックを選別することなく、異なる素材を一括して細かく粉砕・押出成形する技術を確立し、廃プラスチックを資源として有効活用できるようになった。

*今回発表された「レビアペイブ」は、レビアの強度を維持しながら、舗装材として利用されるコンクリートの1/2の重量と軽量化を実現し、施工の負担を軽減する。歩道や、国立公園などの自然遊歩道、オフィスビルや商業施設内の広場、スマートシティでの活用を想定している。

(7)2022年

旭化成、連続炭素繊維のリサイクル基礎技術を開発 環境ビジネス 2022/12/16

https://www.kankyo-business.jp/.../d915b51f-74c7-42cd...

旭化成は12月14日、北九州工業高等専門学校、東京理科大学と推進するNEDO事業において、連続炭素繊維をリサイクルする基礎技術を開発したと発表した。

従来の炭素繊維リサイクル技術は、炭素繊維を長さ3~24mmに切断した炭素繊維加工製品「チョップド炭素繊維」としてリサイクルされていた。チョップド炭素繊維は本来の連続炭素繊維とは形状が異なり、個別のコンポジット技術を開発する必要があった。今回、市販のスキューバダイビング用小型CFRP(炭素繊維強化プラスチック)製タンクから連続繊維をリサイクルする基礎技術を開発。リサイクル品が新品の炭素繊維と同様に扱う事ができることを確認した。

リサイクルした連続炭素繊維は「拠れ」や「毛羽立ち」などがなく、再び成形することで「タンク to タンク」のサーキュラー・エコノミーが実現できるとしている。

本来の連続炭素繊維としてリサイクルできるため、既存のコンポジット技術を活用でき「クローズドループ・リサイクル」を実現できるとしている。クローズドループ・リサイクルとは、廃棄物を同等の品質を維持した材料として再生産し、再び製品へ採用する手法を指す。

今後は、実証開発・事業開発を経て、2030年頃の社会実装を目指すとしている。

*完全生分解性のセルロースファイバー成形材料を開発 PRTIMES 2022/12/06

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000004955.000003442.html

*パナソニック ホールディングス株式会社は、これまでに開発してきた植物由来のセルロースファイバーを高濃度に樹脂に混ぜ込む技術を、生分解性[1]の植物由来樹脂(ポリ乳酸)等へ展開し、完全生分解性の成形材料[2]を開発しました。生分解性樹脂にセルロースファイバーを高濃度添加することで、機械特性と生分解性に優れた成形材料として開発することに成功しました。

*パナソニックは、2015年から石油由来の樹脂量を減らす研究開発活動を開始、2019年に天然由来成分であるセルロースファイバーを55%濃度で(※1)、2021年には70%濃度(バイオマス度70%)で樹脂に混ぜ込む複合加工技術を開発(※2)、2022年3月には植物由来の樹脂を使用したバイオマス度90%以上の成形材料を開発しました(※3)。

*既存の生分解性樹脂は、ポリプロピレン等の汎用樹脂と比べると強度や耐久性が低く、用途が限られています。さらにセルロースファイバーと混ぜ込むと流動性が低く、複雑な形状の成形が難しいため展開先が限られていました。そのため、植物由来のポリ乳酸を含む複数の生分解性樹脂をブレンドし、適正な添加剤を加えることにより、1 mmの薄肉成形も可能な生分解性と高弾性率を両立する成形材料を開発しました。また、従来のkinari(セルロースファイバー55%)(※4)同様、着色自由性が高い白色の樹脂ペレット化に成功、素材そのものを褐色化させることも可能で、木質感などの高いデザイン性も実現できます。

ヤマハ発動機がCNF強化樹脂をエンジン部品に採用、日本製紙と協業 日経XTECH 2022/12/07

https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/news/18/14216/

*ヤマハ発動機は2022年11月、日本製紙が製造するセルロースナノファイバー(CNF)強化樹脂「Cellenpia Plas(セレンピアプラス)」をマリン製品に採用し、併せてセレンピアプラスの用途開発において日本製紙と協業すると発表した。セレンピアプラスは、軽量化と温暖化ガスの排出削減に寄与するという。

*ヤマハ発動機は、採用した理由の1つに「マテリアルリサイクル性に優れること」を挙げる。これまでの一般的な強化樹脂はリサイクル性が課題だった。CNF強化樹脂では樹脂の一部にCNFを取り込むことにより、リサイクル性を向上させた。プラスチック使用量の削減と二酸化炭素(CO2)を主とした温暖化ガスの排出削減を図ることができる。併せて、既存樹脂材料と比較して、25%以上軽量化できる。

*ヤマハ発動機は、2023年夏以降に販売予定の水上オートバイおよびスポーツボートのエンジン部品で、CNF強化樹脂を採用する。将来的には「カウルなど、二輪車や四輪バギーの幅広い部品に活用していきたい」としている。

三菱ケミカルGが開発、再生炭素繊維用いた不織布複合材に吹く追い風 ニューススイッチ 2022_12_01

https://newswitch.jp/p/34786

三菱ケミカルグループはリサイクル炭素繊維製の不織布と熱可塑性樹脂の複合材料を開発した。同繊維のみを使って空隙の均一な不織布に加工し、樹脂を流し入れて中間材を生産。顧客はこれを加熱プレスし、自動車などの部品に加工する。同社は炭素繊維の普及に向けて多様な複合材料を展開している。新たな複合材でリサイクル炭素繊維も含め用途拡大を図る。

リサイクル炭素繊維は新品の炭素繊維に比べライフサイクル全体の二酸化炭素(CO2)排出量はおよそ6分の1という。

 

紙の100倍以上の高熱伝導性、東大がスゴい木質バイオマス素材を開発した

ニユースイッチ 2022/11/02 https://newswitch.jp/p/34430

*東京大学の塩見淳一郎教授らは、紙の100倍以上の高熱伝導性を持つ木質バイオマス素材を開発した。放熱性能を求められる高分子材料の代替として期待される。流体プロセスを使ってセルロースナノファイバー(CNF)を分子スケールで配向させ、酸で固めて糸材にする。植物から得られるCNFを高付加価値化、多様化し、脱プラスチックにつながる。東京都立産業技術高等専門学校、スウェーデン王立工科大学との共同研究。

*2次元の微小流路にCNFの水分散液を注入してCNFの結晶構造を特定の軸方向にそろえながら酸を加えて固め、自然乾燥してCNF糸を作成した。

このCNF糸は熱伝導率が1メートルケルビン当たり14・5ワットで、セルロースナノペーパーなど先端木質バイオマスと比べても5倍以上の高熱伝導性を示した。

CFRTPの開発本格化、カーボンニュートラルの流れ追い風に サプライヤー各社が関連技術確立に躍起

2022.10.31 日刊自動車新聞電子版

https://www.netdenjd.com/articles/-/275444

自動車向け材料として熱可塑性炭素繊維強化プラスチック(CFRTP)の実用化に向けた技術開発が加速している。旭化成は熱可塑性樹脂コンポジット材料のラインアップを拡充、積水化学工業はCFRTPの強度を高める独自の処理液を開発した。CFRTPは熱硬化樹脂を用いる炭素繊維強化プラスチック(CFRP)に比べ、溶解できるためリサイクルしやすい。軽量化ニーズに…

桝井注)

有料のため、以下は閲覧できません。

申しわけございません。

写真は、「旭化成は部品の補強用としてUDテープを開発」のタイトルがついています

次世代自動車・航空宇宙の需要狙う、最先端材料技術たちの効果 2022/10/20 ニュースイッチ https://newswitch.jp/p/34261

*先端材料と加工技術の展示会「SAMPE Japan 先端材料技術展2022」が19日、東京ビッグサイト出展社は次世代自動車、航空宇宙、グリーンなどの分野で、軽量化やリサイクルなど最終製品の高付加価値化に貢献する材料技術を提案した。新しいニーズが発掘され、材料の用途が広がることが期待される。

*旭化成は金属鋳造部品並みの高強度を実現できる炭素繊維複合樹脂材料「UDテープ」を開発した。一方向の炭素繊維にポリアミド樹脂を含浸した材料。重ねて加工する際にテープ間を強く接着でき、加工品として強度が高い。プラスチック部品の部分補強など軽量化材料としてスポーツ用品や建材、自動車部品などに提案する。

*住友ベークライトは絶縁性や耐トラッキング性に優れたジアリルフタレート(DAP)の長繊維材を開発。特性を生かしつつ、アルミダイカストと同等の耐衝撃性を実現できる。射出成形に対応し、電動車部品などへの採用を見込む。

*三菱ガス化学は3D(3次元)プリントとプレス成形を組み合わせた炭素繊維強化プラスチック(CFRP)成形技術を紹介した。繊維配向の制御が可能になり、オートクレーブ法よりも強度を高められる。

*羽生田鉄工所(長野市)は配線構造一体でトポロジー最適化したCFRPを使った飛行ロボット(ドローン)を出展した。配線を縫い止めてオートクレーブ成形で一体化でき、筐体(きょうたい)内の空間確保や組立工数削減につながる。

*電動化の進展などでさまざまな製品・部品の軽量化要求は高まっている。また、再生材やリサイクルを前提とした材料の採用を求める動きも強まっており、各社は開発を急ぐ。脱炭素社会を見据えた新たなニーズにモノづくりの力でどう応えていくのか。素材関連メーカーの材料技術が試されている。

*日本製紙と三井化学が事業化へ、スゴイ新バイオマス材の正体

Yahoo news 2022/09/14

https://news.yahoo.co.jp/articles/83a6b4f7ee72986a3008f745d6b5ebe3fb866e77

*日本製紙と三井化学は、木質バイオマスのセルロース繊維を主原料とする新たな成形材料の事業化に向けて連携する。2025年度までに複数件の受注を目指す。新材料は、微細なセルロース粉末を50―80%超の比率でポリプロピレン樹脂(PP)へ高配合した。化石資源の利用を減らし、ライフサイクル全体で温室効果ガスの排出削減に寄与する。天然素材を大量に使用しながら成形性は一般的なPP混練(コンパウンド)と同等で、工業材料として使い勝手が良い。セルロース配合で強度を高め、薄肉化により軽量化にも寄与する。22年度から一部顧客へ、23年度から本格的にサンプルワークを始める。用途に合わせた開発や改良を行い、自動車や家電の部品、日用品、容器、建材など幅広い市場を開拓する。生産体制は受注規模に応じて整備する。

*近年、天然繊維と樹脂の複合材料の提案が増加している。三菱ケミカルグループは、一年草の「亜麻」などの繊維と樹脂の複合材を開発する米リングローブへ出資。22年度中の事業化を目指す。リングローブ幹部は「近い将来、自動車や家具で用いられる多くの木材やプラスチック材の代替として使われるようになる」と自信を語っている。 ほかにも、住友化学は欧州子会社で間伐材由来の木材繊維とPP樹脂の複合材料を開発。パナソニックもセルロース高配合プラに取り組む。

*炭素繊維強化プラ」再利用化に成功 航空機など部材 新明和、新興企業と連携し試作 ひょうご経済プラス 2022/07/29

https://www.kobe-np.co.jp/news/keizai/202207/0015509938.shtml

新明和工業は、航空機の部材などに使われる炭素繊維強化プラスチック(CFRP)から炭素繊維を取り出して、別の部品に再利用することに成功した。リサイクルを手がけるスタートアップ(新興企業)、富士加飾の技術を活用。

新明和によると、世界で初めて新品同様の品質を確保できたという。二酸化炭素(CO2)や廃棄物の削減にも寄与するといい、航空機の内装部品や下水処理場のプロペラなどとして、2025年以降の製品化を目指す。

CFRPを1キロ製造すると15~20キロ程度のCO2が排出されるが、熱風を循環させて樹脂を取り除く富士加飾のリサイクル法では5分の1以下の2・65キロまで減るという。

 

軽量高強度(CFRP)の高効率技術の確立Ⅱー成形条件が成形品の品質に与える影響

静岡県工業技術研究所 研究報告 第 14号 (2021)

ttps://www.iri.pref.shizuoka.jp/wp/wp-content/uploads/2022/02/h-2-4.pdf

曲げ試験、断面観察から加熱圧縮成型機の設定温度、成形圧力、UDテープの細断長が成形品の力学的特性、成形性に与える影響を確認。

三井化学、マイクロ波で炭素繊維製造 エネルギー消費減 日本経済新聞 2022/05/12

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC1015M0Q2A510C2000000/

三井化学は大阪大学発スタートアップのマイクロ波化学(大阪府吹田市)と共同で、炭素繊維の製造時のエネルギー消費量を従来の約半分に低減できる技術を開発した。マイクロ波を使うことで、より効率的に加熱できるようにした。今後はさらに大きな設備で製造試験をするなど、実証実験を重ねる。

炭素繊維は原料となる繊維を加熱炉の中でセ氏200~300度に加熱し、高温でも燃えにくくする。その後、別の炉で酸素などを遮断した状態で1000~2000度に加熱して炭化する。この2工程にマイクロ波を使う技術を開発した。

従来製法では炉全体を加熱し、温度を維持する必要がある。今回の技術は電子レンジのように、設備の内部を局所的に加熱するので必要なエネルギーが少ない。処理時間も短くなるほか、加熱装置も小さくできる。

人工クモの糸のスパイバーとアパレル大手が「脱炭素のタンパク質素材」第4弾…課題は「価格」YahooNews 2022/03/25

https://news.yahoo.co.jp/articles/c8ff545fde48e6e3030f923c5caf7753d15852e8?page=1

ゴールドウインは3月24日、次世代のタンパク質素材「ブリュード・プロテイン(Brewed Protein)」で作ったスリーレイヤージャケット、デニム、フリースを初めて披露した。環境に配慮した新プロジェクト「Goldwin 0」として発売する。

*ゴールドウイン社長の渡辺貴生氏は、今回発表したスリーレイヤージャケットやデニムについて、製作時に排出する温室効果ガスの量が少ないなどの環境への配慮のみならず、「着心地が良くて、使い勝手が良いものに仕上がっているのではないか」と自信を語った。

*新素材を手がけるのは、​​人工合成クモ糸素材で知られる国内のバイオベンチャーSpiber(スパイバー)だ。 Spiber代表の関山和秀氏は、新素材について「簡単に言うと、(植物由来の糖類をエネルギーにする)微生物を使った発酵プロセスで作った、タンパク質の素材だ」と説明する。今回の新製品のようにウール素材やデニム素材など、さまざまな素材に(質感を)寄せられるという特徴がある。新素材については「カシミアと比べれば、温室効果ガスの排出量はだいたい数分の1以下に抑えられる。素材を作るときに使う水の量も数分の1で済む。河川や海洋への不栄養化も影響をおよぼしにくいと分かり始めている」と語った。

*環境負荷が低い、新素材の採用にあたっての課題は「価格帯。

新製品の価格帯はまだ決まっていないものの、スリーレイヤージャケットが約15万円になる。

パナソニックがバイオマス度90%以上のCeF成形材料開発、バイオPEの弱さを克服 MONOist 2020_03_22 

https://monoist.itmedia.co.jp/mn/articles/2203/22/news041_2.html

(3/20付けで同様の情報を報告しましたが、今回は異なるソースからの情報で、前回より詳細です)

*これまで同社は、間伐材などから得られた木材繊維(パルプ)を微細化したバイオマス素材であるセルロースファイバー(CeF:Cellulose Fiber)に、樹脂(ポリプロピレン:PP)と添加剤を混ぜて、CeFを高濃度に含有する成形材料(CeF樹脂)を作り出す複合加工技術と、乳白色の成形材料の生成を可能にする混練技術を確立し、植物由来のCeFの使用比率を55%、70%と引き上げながら石油由来の樹脂の使用量を削減する取り組みを推進してきた。

*今回の発表内容は「CeFの高濃度化」とともに、同社が開発の方向性として掲げる「植物由来樹脂への置き換え」を実現するもので、材料全体におけるバイオマス度(材料に含まれる植物/生物由来の原料の割合)向上を目指すものとなる。

具体的には、バイオマス度を高めるために、CeFに混ぜる樹脂を石油由来のPPから植物由来のバイオポリエチレン(バイオPE)に置き換え、標準品である55%高濃度CeF成形材料kinari(樹脂はPPを使用)と同等レベルの強度物性を備えた、バイオマス度90%以上のCeF成形材料(CeF含有量は同じ55%で、樹脂はバイオPEを使用)の開発に成功した。

*植物由来樹脂の中からバイオPEを選んだ理由は「植物由来樹脂は非常に種類が少なく、融点の高いものだと成形時にパルプからできたCeFが焦げてしまうという課題がある。少ない候補の中から融点的にも特性的にも合うものとしてバイオPEを活用する方向で開発を進めた。

ここでのポイントは、軟らかい性質を持つバイオPEを使用しながら、樹脂にPPを使用している標準品のkinariと同等の強度を実現できた点にある。

*また、開発したバイオマス度90%以上の成形材料は、従来のkinariと同じく着色自由度の高い乳白色の樹脂ペレット化にも成功し、成形時の温度コントロールによって褐色化させて木質感を再現するといったデザイン性の高さも、kinariの特性をそのまま引き継いでいる。

パナソニック、バイオマス度90%以上のセルロースファイバー成形材料を開発 CINET Japan 2022/03/18

https://japan.cnet.com/article/35185092/

*パナソニックは3月18日、植物由来のセルロースファイバーを高濃度に樹脂に混ぜ込む技術を、植物由来の樹脂(バイオポリエチレン)へ展開し、バイオマス度90%以上の成形材料を開発したと発表した。

*パナソニックは、2021年に70%濃度(バイオマス度70%)で樹脂に混ぜ込む複合加工技術を開発。同年12月に高濃度セルロースファイバー成形材料「kinari」のサンプル販売を開始している。

*さらにバイオマス度を高めるため、石油由来樹脂(ポリプロピレン)を植物由来樹脂に置き換える開発を進め、バイオポリエチレン(バイオマス度90%以上)に着目した。適正な添加剤を加えることにより、成形材料としてバイオマス度90%以上で、ポリプロピレンを用いたkinariと同等の強度物性を達成。これまでのkinari同様、着色自由性が高い白色の樹脂ペレット化に成功し、成形時に素材そのものを褐色化させることで、木質感などの高いデザイン性も実現した。

*パナソニックでは今後、今回の形成素材を家電筐体や車載機構部材、大物家電外装や美容家電、服飾衣料品や日用品に加え、飲料・食品容器等への展開を進めるとともに、さらなるバイオマス度の向上を目指す考えだ。

帝人、富士加飾と業務提携 リサイクル炭素繊維商業化へ 2022/02/28 ゴムタイムス

https://www.gomutimes.co.jp/?p=170717

*帝人は2月24日、リサイクル炭素繊維の商業化に向けて、富士加飾と業務提携することで合意したと発表した。

*富士加飾は、使用済みCFRPから母材となるプラスチックを取り除き、高品質な炭素繊維を取り出すことができる精密熱分解法という独自の特許技術を保有している。この技術はCO2排出量が少ないのが特徴で、新しい原料から炭素繊維を生産する場合に比べて、CO2排出量を10分の1程度に抑えることができる。

高強度で炭素繊維以上の耐衝撃性 日本板硝子のガラス繊維 2022/02/07 日経XTECH

https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/news/18/12180/

*日本板硝子は、従来品に比べて剛性と強度を高めたガラスファイバー「MAGNAVI」(マグナビ)を開発した(図1)。繊維強化プラスチック(FRP、FRTP)の寸法安定性や機械特性を高める補強材として、従来のガラスファイバーやカーボンファイバーを代替できる。既にサンプル提供を開始しており、津事業所(津市)の生産体制を整え、2022年下期から順次、販売を拡大する予定。

*Eガラスより高い引っ張り弾性率と引っ張り強度を持つと確認できた。Eガラスやカーボンファイバー、アラミド繊維に比べて耐熱性も高い。

*ポリアミド(PA)66にMAGNAVIを20%添加すると、Eガラスやカーボンファイバーを添加したものと比べて曲げ強度、シャルビー衝撃強さが高まる(図2)。引っ張り強度はカーボンファイバーには劣るもののEガラスよりも高い。希土類(レアアース)を用いずに弾性を向上させることにより、環境負荷と原料調達リスクを低減。さらに、生産時のエネルギー使用量と二酸化炭素排出量も減らした

 

*【トップに聞く 2022】スパイバー関山和秀代表 人工クモ糸の開発からヒントを得た「ブリュード・プロテイン素材」の可能性

2022/02/05  【トップに聞く 2022】スパイバー関山和秀代表 人工クモ糸の開発からヒントを得た「ブリュード・プロテイン素材」の可能性(FASHIONSNAP.COM) - Yahoo!ニュース

*人工的にクモ糸を作る「クモノス(QMONOS)」で注目を集めた同社は、今年で創業15周年で、今、「構造タンパク質を使いこなすプラットフォーマー」へと方針を転換して巨額の調達で世間を驚かせた。

*11月にはISO(国際標準化機構)により「タンパク質繊維」の定義が改訂。人工的に製造されたタンパク質も「タンパク質繊維」に含まれるようになりました(これまでは。「分類外繊維」)

*ここ数年でスパイバーにおける素材開発の考え方、技術開発のフェーズが完全にアップデートされ、「クモノス」から「ブリュード・プロテイン素材」に進化しました。

*たしかに最初は天然のクモの糸に着目し、それを人工的に再現しようと研究を始めました。一方、本当に世の中に求められている素材と天然のクモの糸の間にはギャップがありました。そこで、蓄積してきたデータや技術をフルに活用して、世の中のニーズに真にマッチする構造タンパク質素材を設計、合成、生産していくというというアプローチに切り替えたのです。そうして生み出された「構造タンパク質」全てを「ブリュード・プロテイン素材」として再定義しました。

*石油に頼ることなく、またマイクロプラスチックを排出することがないため、海洋汚染に対する影響も少ないことやカシミヤやウールなど動物繊維より温室効果ガスの排出量が大幅に抑えられることが期待されている。

*クモ糸は高速で歪みが加わった時の特性が素晴らしいので、輸送機器や自動車部品など、事故の際のエネルギー吸収が求められるような使い方は可能性があると考えています。そういった分野でも使ってもらえるように、引き続き開発を進めていきたいと考えています。

*米国の工場が稼働してくるとそれなりの大きな売上利益になっていくはずです。早ければ2023年頃から米国のプラントの稼動を始められるという想定でスケジュールを今進めていますので、黒字化はそれ以降になると思います。

**参考:繊維複合材料のプレゼンをしてほしいとの依頼を受け、庄内空港におり、鶴岡に向かったのは、創業後1~2年位の時で、素晴らしい発展を遂げられていることに感服しています。

 
(6)2021年

セルロースナノファイバーとは? その特徴と用途を解説

https://engineer.fabcross.jp/archeive/211213_cellulose-nanofibers.html 2021/12/13 fab cross for エンジニア

*セルロースナノファイバー(CNF)について、CNFとはから始まり、特徴、用途、将来性と課題について分かりやすく解説されています。

*複合材としての用途以外に、こんな分野までと思われる分野まで紹介されています。

 

循環型社会に貢献:電池開発で培った生産技術が生んだ植物繊維強化プラスチック nippon.com

https://www.nippon.com/ja/japan-topics/g01205/

*パナソニックは2021年に開発した「セルロースファイバー複合材」「kinari」の開発者にインタビュー記事。(桝井注)

*原料のパルプを乾いた状態のまま粉砕します。その後、粉砕したパルプをプラスチック樹脂と添加剤が溶解されている樹脂融液に入れてほぐし、樹脂融液の中でセルロースファイバー化します。製造時のエネルギー消費は湿式法の4分の1以下になります。電池開発で培った生産技術が生かされてます。

*掃除機の部品などの実用化されています。

フクビ化学、炭素繊維部材を一貫生産へ 車部品向け 2021/11/18 日本経済新聞

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC162W20W1A111C2000000/?unlock=1

 フクビ化学工業は自動車部品などに使う炭素繊維複合材を一貫生産する技術を開発する。シート状の繊維に樹脂をしみ込ませて部品に成型するまで、工程が中断しないため生産性が2倍に上がる。4年後の実用化を目指し、電気自動車(EV)などでの採用を想定する。

 フクビ化学が製造するCFRTPはまず、炭素繊維の束を広げて熱可塑性樹脂を染み込ませ、0.05ミリメートル以下の薄いシートにする。シートを数センチメートル単位に細かく刻んでバラバラに並べ、さらに樹脂で固めることで、加工しやすい独自の「チョップドシート」を製造する。チョップドシートは繊維の方向がバラバラのため、複雑な形状でも部品に成型しやすい

​*夢の繊維」アパレルに新風 クモの遺伝子参考に脱炭素も追い風
 クモの糸は、重さ当たりでは鋼鉄より強く、伸び縮みはナイロン以上。そんな繊維を人工的に再現したのが、「スパイバー」(2007年設立)。クモの遺伝子配列を参考に、クモの糸に似たたんぱく質を作るのに成功。製造過程で生地の風合いを変えたり、吸湿、速乾、消臭などを加えることもできる。
 2015年以降ゴールドウインと組んで、アウトドアジャケットを限定販売。タイと米国に新工場を近く稼働させ、足元の売上高は、2億円程度だが、数年で数百億円規模に拡大する潜在力がある。投資家に期待が高まる一因に「脱炭素」がある。

*ミノムシが産生する高強度繊維と導電性高分子を組み合わせた新規複合繊維材料を開発 TSUKUBA JOURNAL 2021/10/22

https://www.tsukuba.ac.jp/journal/technology-materials/20211022140000.html

近年、ミノムシのミノを構成する糸やこれを枝から支える糸が、弾性率・破断強度・機械的強度のすべてにおいて、クモの糸を上回ることが分かっています。一方、導電性高分子の一つとして電池用電極や導電性インクなどに用いられるポリアニリンは、原料が安価で簡便に合成できるという特徴がありますが、それ自体には光学活性はなく、また、液体に溶解させたり熱加工することは困難です。

本研究では、ミノムシの糸と導電性高分子のポリアニリンを組み合わせ、両方の特徴を併せもつ複合繊維を合成しました。この繊維は、繊維長軸方向に沿って異方性のある電気伝導性をもち、同時に、柔軟性と光ファイバーとしての性質を示しました。さらに、これが繊維状の電気化学トランジスタとして応用できることを見いだしました。

また、緑色レーザーを繊維の長軸方向に沿って照射したところ、この複合繊維がレーザーを伝搬する光ファイバーとしての機能をもつことも分かりました。このように、天然由来のシルク繊維と導電性高分子を組み合わせることにより、新しい複合繊維材料の開発に成功しました。

*日本製紙がセルロースナノファイバー強化樹脂を量産する狙い

https://newswitch.jp/p/28842  ニュースイッチ 2021/09/18

日本製紙は、木材パルプ由来のCNF(セルロースナノファイバー)強化樹脂を量産する。富士工場の実証設備に量産可能な中型二軸混練機(押し出し機)を新設し、マスターバッチ(中間加工体)の生産能力を従来比5倍の年50トン以上とした。自動車や家電、建材メーカーとCNF強化樹脂の用途開発を加速。本採用に向け、量産技術の確立で先行する構え。

 

*DICら、新型炭素繊維強化プリプレグシート開発 世界最速硬化・常温保管も 環境ビジネスオンライン 2021/07/20

https://www.kankyo-business.jp/news/028871.php

DIC、セーレン、福井県工業技術センターは7月15日、世界最速レベルの硬化時間や常温保管を実現した「速硬化炭素繊維強化プリプレグシート」を開発したと発表した。同シートの量産プロセスを構築し、セーレンで稼働させた実証機を使用したシートサンプルの提供を7月から開始する。

一般的にプリプレグシートを含めたCFRPは成形加工に時間を要し、生産コストの高さが普及の妨げになっているため、成形時間を短縮する技術が求められてきた。

今回開発したシートは、最短30秒という世界最速レベルの硬化時間によりコストダウンが図れるとともに、一般的なエポキシ系のプリプレグシートが冷凍・冷蔵倉庫などでの保管が必要なのに対して、常温保管が可能で、シート保管の設備・管理の負担も軽減できるという。

 

*塊をほぐして母材内に高分散 CNTを用いた振動版、車載スピーカーに採用決まる 

 EETimes 2021/7/5 https://eetimes.itmedia.co.jp/.../2107/05/news031.html

NEDOとGSIクレオスはカーボンナノチューブ(CNT)が実用化され、車載用スピーカーに採用されたと発表した。

開発した方法でほぐし処理を行った後のCNTは、アスペクト比が30以上になり、耐衝撃性能が従来品の2倍以上あることを確認した。また、開発したほぐしCNTを振動板に充填すると、音を伝える速度が向上し、クリアな高音や低音の分解能、ゆがみ感、臨場感といったスピーカーに必要な特性が大きく向上した。

*超高耐久床版(Dura-Slab®)を高速道路本線橋に初採用

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000265.000016810.html

PRTIMES 2021/7/2

NEXCO西日本と三井住友建設株式会社は、鉄筋やPC鋼材に代わり、腐食しない新材料を緊張材として用いた超高耐久床版『Dura-Slab』を中国自動車道「蓼野第二橋(たでのだいにきょう)下り線」の床版取替え工事に高速道路橋として初めて採用。

桝井注)補強材として、「アラミドFRPロッド」を採用している。アラミド繊維は、繊維複合樹脂としての用途はなかなか広がらないが、コンクリートの補強材として利用されている。

*最短1分で硬化するシート状の炭素繊維中間材料、三菱ケミカルが販売

 2021-05-24 09:43:12 日刊工業新聞電子版 https://jp.rwwiki.cn/finances/52298.html

自社従来品の5分から短縮できる。既にサンプルワークを進めており、一部製品で採用も決まったという。速硬化型の投入で自動車といったモビリティー用途での利用拡大を目指す。新たに独自開発した樹脂を使うことで、CFRP中間材を成形する際に短時間で硬化し、従来品と同等の保存安定性を両立。

桝井注)

ここまで短縮できれば、熱可塑のCFRTPと同等の成形サイクルで成形できる可能性があり、価格次第では画期的な熱硬化のCFRPと言える。

*「ほぼ木」 パナソニックの植物繊維強化プラスチック

https://www.nikkei.com/nkd/company/article/?DisplayType=1... 2021/3/21 2:00日本経済新聞 電子版

同社は、独自に開発したセルロース繊維強化プラスチックを、既にクリーナー(掃除機)の部品やタンブラー(コップ)で実用化している。セルロースナノファイバー(CNF)とは違ってナノ(10億分の1)メートル級まで細かくしないため、同社は「ナノ」を省いて「セルロースファイバー」と呼ぶ。

ただし、繊維の中心部の太さはマイクロ(100万分の1)級ながら、両端はナノ級まで細かく枝分かれした形状にするのが特徴。2019年にはセルロース繊維を55質量%含む材料を実用化しており、含有率をさらに高めた。セルロース繊維の含有率を70質量%まで高めたポリプロピレン(PP)との複合材料について、(1)流動性を高めて成形性を向上させた「高流動タイプ」と(2)成形後の剛性を特に高めた「高剛性タイプ」の2種類を新たに開発した。

セルロース繊維の調達は、さまざまな廃棄物を再利用できる。同社は現在、スギやヒノキ、竹の廃材や、麦芽かす、茶葉のかす、コーヒーかすなどを有効利用したい企業や自治体との連携を進めている。

*BASF、高温耐性の次世代ガラス繊維強化プラスチックを開発---190度まで対応

https://response.jp/article/2021/03/18/344088.html  (2021年3月18日 レスポンス)

新開発のウルトラミッド B3PG6 BK23238は、190度までの耐熱性があり、ハロゲン化物や金属フリー安定化により、電気部品のガルバニック腐食を防止。さらに30%ガラス繊維で強化されたこのポリアミドは、優れた耐熱老化性を持つほか、振動溶着およびホットガス溶着への適用も可能だ。

*日本製紙、木質バイオマスを高配合した樹脂複合材料を開発

https://www.kankyo-business.jp/news/027283.php 2021/2/4

日本製紙は、日本製鋼所と共同で、木材を原料とする木質バイオマスを高配合した樹脂複合材料(トレファイドバイオコンポジット)を開発したと発表した。プラスチック使用量を5割以上削減できるとともに、温室効果ガス排出量の削減にも寄与するという。

今後、建材、食品容器・器具、家電製品、園芸など、様々な分野での用途開発により、商品化を進める。

今回開発された新材料は、同社が培ってきた新規バイオマス固形燃料のトレファクション技術(樹脂の融点よりも高温の250~300℃で木質バイオマスを低温炭化させる技術)を活用した。低温炭化により木質バイオマスの耐熱性が向上し、樹脂との混練や成形の際にバイオマスから発生する熱分解ガスを抑制。また、粉砕性に優れているため微粉化が容易となり、同材料の流動性が向上するため、複雑な加工

が可能だという。さらに、疎水性が付与されることで樹脂中のバイオマスが良好に分散し、強度が高くなるなどの特徴を有するという。

*70%高濃度セルロースファイバー成形材料を開発

パナソニック PRTIMES2021/2/4

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000004099.000003442.html

パナソニック株式会社マニュファクチャリングイノベーション本部(以下、パナソニック)は、植物由来のセルロースファイバーを70%の高濃度で樹脂に混ぜ込む複合加工技術と、それを製品化する成形加工技術を開発した。

2019年にプレスリリースしたセルロースファイバー55%濃度の成形材料から高濃度化の開発を進め、本開発の70%濃度でも、素材のもつ自然感を活かす意匠を表現することにも成功した。

着色自由性が高く、着色剤なしでも、素材そのものを褐色化させることで色むらを制御することが可能で、木質感などの高いデザイン性も実現できる。

桝井注 セルロースナノファイバー(CNF)ではありません。

クルマの軽量化に貢献するプレス成型用高剛性樹脂材料、東洋紡が提案…オートモーティブワールド2021 | レスポンス(Response.jp)

 「スタンパブルシートは他社にもあるが、40~50%の高い繊維含有率量ながら、繊維がリブの先端まで流れるうえ、35mmまでの長繊維が使えるので、薄肉で高強度というのが特徴」(オートモーティブワールド2021に出展)

桝井注)

 強度、特に、衝撃強度に対し、繊維長の影響が大きく、一定長さ以上の長繊維を使用したい(製品に残したい)が、長いと、リブの先端まで流れない。L=35mmで、薄肉リブ先端まで充填されるのなら素晴らしい。

 織物タイプの繊維は衝撃強度等で優れるが、リブ先端まで繊維が充填されず、コストも高い。

(5)2020年
プラスチック製の蜘蛛の糸で携帯電話の画面を保護 2020/12/25 Fab cross
 カナダのモントリオール理工科大学は、3Dプリンターで作った繊維で衝撃エネルギーの96%を吸収できることを実証した。これによって、スマートフォン用の透明な高耐衝撃プラスチックカバー開発へ道が開けるとしている。

研究チームは、3Dプリンターを使いポリカーボネートで、太さ2mm未満の繊維を「織り」上げた。3Dプリンターによってゆっくりと押し出されて繊維を形成すると、溶融プラスチックは輪を作り、最終的に一連のループを形成する。

「硬化すると、これらのループは犠牲リンクに変わり、繊維の強度を増加させる。衝撃が発生すると、これらの犠牲リンクがエネルギーを吸収して壊れ、繊維の全体的な完全性を維持する。これは絹タンパク質と同じだ」

研究チームは、透明なプラスチック板に一連の蜘蛛の巣を埋め込んで、衝撃試験を行ったところ、プラスチック板は壊れることなく衝撃エネルギーの最大96%を分散させた。プラスチック板は、ひびが入る代わりに、特定の場所で変形し、全体的な完全性を維持した。

新技術は、新しいタイプの防弾ガラスの製造や、より耐久性のあるプラスチック製の保護スクリーンの製造につながる可能性があるという。

* トヨタ GRヤリス、ルーフに炭素繊維複合材料…三菱ケミカルのSMCで軽量化 2020/11/18  
 RESPONSEhttps://response.jp/article/2020/11/18/340437.html

三菱ケミカルは11月16日、炭素繊維複合材料「シートモールディングコンパウンド(SMC)」がトヨタ自動車の『GRヤリス』のルーフに採用されたと発表した。

三菱ケミカルSMCがトヨタに採用されるのは2017年2月の『プリウスPHV』のバックドア骨格、同年3月のレクサス『LC』のドアインナーとラゲッジインナーに続いて、3件目となる。

GRヤリスへの採用は、SMCを使用することで大幅な軽量化と高い部材性能を実現できる点や、複雑形状の部材を生産可能とする成形性に優れる点が評価された。

* 衝撃エネルギーを96%吸収、スマホを落としても割れない新材料 (2020年11月12日​ 人民網日本語版)
   http://j.people.com.cn/n3/2020/1112/c95952-9779316.html
 モントリオール理工科大学の科学研究チームはこのほど専門誌に掲載した最新の研究成果の中で、付加製造法により新型複合材料を発明したと発表した。同材料は衝撃エネルギーの96%を吸収でき、材料が砕けることもない。同材料の登場により、より耐久性の高いスマートフォン保護ディスプレイの生産が可能になる。同材料の設計は蜘蛛の糸の驚異的な特性からインスピレーションを得たという。
 ポリ炭酸エステルは加熱後、はちみつのようにべたべたになる。この属性を利用し、3Dプリンターを使い、一連の厚さ2ミリメートルを下回る繊維を作り、そして網全体が凝固する前にスピーディに一連の新たな繊維を垂直方向に印刷した。

 3Dプリンターが印刷材料をゆっくり押し出し繊維にする際に、溶けたプラスチックが円形になり、最終的に輪の連なりになる。「硬化すれば、これらの輪は犠牲的連結になり、繊維の強度が高まる。衝突が発生すると、繊維全体の完全性を保つように、これらの犠牲的連結が衝撃エネルギーを吸収するとともに断裂する。これはシルクプロテインに似ている」。

 一連の繊維網を透明な樹脂ボードに埋め込み、衝撃試験を行った。その結果、このウエハーは96%の衝撃エネルギーを分散させながらも破裂せず、一部に変形が生じるだけで、ウエハー全体の完全性を保った。

 「スマートフォンのディスプレイの他にも、同材料は新型防弾ガラス、航空機エンジンの保護コーティングなどに使用できる」としている。

蜘蛛糸のスパイバーSpiber 穀物メジャーと組み米で量産化へ 「ブリュード・プロテイン」 (2020/10/ JC Net)
​ https://n-seikei.jp/2020/10/post-70671.html
 世界初の合成クモ糸繊維「QMONOS(クモの巣)」の量産化に成功している繊維素材開発ベンチャーのスパイバーは6日、同社が開発する人工タンパク質素材「ブリュード・プロテイン」を米国で量産すると発表した。米穀物大手のアーチャー・ダニエルズ・ミッドランドと量産に関する協業で提携した。
 ブリュード・プロテイン=Brewed Protein™ は、植物由来のバイオマスを主な原料とし、微生物発酵(ブリューイング)プロセスによりつくられる人工タンパク質素材(植物由来の糖類=グルコース=ぶどう糖を主原料とした繊維素材)。
脱石油素材の一つで、衣料品などへの採用が広がっている。
 提携では、ADM社が、植物由来のグルコースを原料とする「ブリュード・プロテイン」の発酵と生産を担当。
スパイバー社が、加工拠点で繊維や樹脂、フィルムなどに加工する。
 スパイバーは現在、タイにタンパク質製造プラントの建設を進めており、来年の稼働開始を予定している。
同社は昨年11月、同社と資本業務提携しているゴールドウィンが提携する米ノースフェイスブランドから『MOON PARKA(ムーンパーカ/150,000円+税(165,000円))』をネットで限定販売している。

中国が開発した究極のバイオ素材に、日本も焦り?=中国メディア (2020/9/21 ニコニコニュース)
  https://news.nicovideo.jp/watch/nw8137293
 中国のポータルサイト・百度に18日、「中国の新たなブラックテクノロジーに、日本も焦っている」とする記事が掲載された。
 中国の技術研究の歴史は比較的浅いものの、現在すでに世界をリードする技術をいくつか手に入れていると伝えた。その上で「竹で作る高速鉄道列車」もその「ブラックテクノロジー」の一つであるとと説明した。
 竹を材料とした高速鉄道列車は、「竹巻き付け複合技術」と呼ばれる技術を利用したもので、竹を基本材料、樹脂を接着剤として用いた複合資材を使うのだと解説。鋼材やプラスチックに比べて製造コストが大きく低減できるほか、耐圧性や保温性も優れているとした。また、竹は生長が速い植物であることから、材料コストが下げられるだけでなく、環境への影響も小さい非常にエコな素材なのだと伝えている。低コストで環境に優しい竹由来の複合素材を高速鉄道分野に導入することで、日本との高速鉄道受注争いでさらに優位に立てるようになるとの見方を示した。

 
難燃性の炭素繊維強化プラスチックを開発——植物性由来で99%以上リサイクルが可能
  (2020/07/28 Fabcross) https://fabcross.jp/news/2020/20200728_carbon-fiber-reinforced-plastic.html
 韓国科学技術研究所(KIST)は、植物由来のタンニン酸を使用して、難燃性の炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を開発した。さらに、有害物質を発生させずにリサイクルする新手法も考案した。研究成果は『Composites Part B: Engineering』に2020年5月22日付で発表されている。
 タンニン酸から製造したエポキシ樹脂を炭素繊維に混合し、より強度が高く難燃性のあるCFRPの開発に成功した。
 また、CFRPを臨界点以上の温度や圧力においた超臨界流体の状態で水に溶解させたところ、炭素繊維の性能を低下させずに99%以上のCFRPをリサイクル過程で回収できた。さらに、エポキシ樹脂が溶解するとカーボン量子ドットと呼ばれる物質を生成することも分かった。カーボン量子ドットは、光電子工学、センサー、バイオイメージングなどの分野で材料として利用されている。
水を使わない全乾式製法を用いたセルロースファイバー成形材料技術(2020/07/22 MONOist)
​ 従来の水中で解繊を行う方式(湿式製法)に対し、パナソニックは水を使わずに、樹脂融液の中で繊維を解繊して、複合樹脂化する全乾式製法を考案。乾燥を伴わないため、乾燥コストが不要となり、セルロース1kg当たり、約1.8kgのCO2削減に成功した。また、従来の湿式製法では、樹脂ペレット化するまで4工程必要だったところ、同社の全乾式製法では、解繊、変性、分散を一貫処理することで1工程化を実現した。
 全乾式製法は、繊維の太い部分を残しつつ、先端のみをナノファイバー化しており、繊維のせん断を抑えることで乳白色のペレットを作り出せる。そのため、着色自由度が高く、独自の成形技術により色味を制御した木質感のデザインなども再現できる」
セルロースファイバー55%以上を樹脂に混ぜ込む複合加工技術を確立。この技術を用いて、アサヒビールと共同でリユースカップ「森のタンブラー」を開発している。
東レ、「空飛ぶ車」に炭素繊維を供給 独企業と契約 (2020/07/14、日本経済新聞)
 東レは14日、「空飛ぶ車」向けに炭素繊維複合材料を供給すると発表した。機体を開発する独リリウムと供給契約を結んだ。胴体や主翼に炭素繊維複合材料を使用し、機体の軽量化などに役立てる。航空機や自動車向けで培った炭素繊維のノウハウを生かし、空飛ぶ車向けでも事業を拡大していく。
​ リリウムが開発中の機体「リリウム・ジェット」に素材を提供する。同機体は5人乗りで時速300キロメートル以上で飛行する。垂直離着陸が可能だ。リリウムは2025年の商業運航開始を目指す。空飛ぶ車は都市部の渋滞や騒音、大気汚染を解決する次世代の交通システムとして期待が集まっている。
CFRP製造技術でカスタム自転車に参入、航空宇宙・自動車向けはAGCなどと展開 (1/2) (2020/07/14MONOist)
 シリコンバレーのベンチャー企業であるArevoは、独自のCFRP(炭素繊維強化プラスチック)素材の設計・製造技術を活用し、新たにカーボンフレームのカスタム自転車ビジネスへの参入を発表した。また、AGCなどのパートナーと協力し、航空宇宙向けや自動車向けのCFRP活用拡大に向けた取り組みを強化する。
 CFRPの3Dプリント(積層造形)技術、ハンドを操作し事後処理の自動化などを行うロボティクス技術、そしてこれらを一貫して支えるエンジニアリングソフトウェア技術により、CFRPの設計から製造までのシンプル化を図り、リードタイムの大幅な削減を目指していることが特徴。
プレミアム素材の鍛造カーボン仕様を実現したAirPods Pro専用ケース (2020/07/07、アスキー'sセレクションonASCII)
 プレミアム素材のフォージド(鍛造)カーボン仕様を実現したAirPods Pro専用ケース。
 ケースの主材料にはCFRPを使用。CFRPは電波を通しにくいので、本来スマホのケースには向かないが、AirPods Proはケースに収納しているときには、通信をしなくてもよいので、使用には問題なし。成形後の厚みを約0.55mmと薄くすることで、ワイヤレス充電も実現。

 使用しているフォージドカーボンは、一般的な織物状のシートではなく、細かく乱切した炭素繊維を樹脂と混ぜて、金型を使い高温、高圧で成形。織物状よりも格段に強度が上がり、あらゆる方向からの力に対して、剛性が高くなる。

 フォージドカーボンは、非常にプレミアム性がある素材で、一部のスーパーカーやハイブランドの腕時計のケースなどに採用。複雑に絡まった繊維から反射される光沢感が新鮮なフォージドカーボンの艶有りと艶消しの2種類を用意。

​ #桝井注)CFRPは強度部材であるが、強度+加飾としての使用例として注目される。

​*BlackBerry最後の端末「KEY2 Last Edition」をFOXが299台限定販売 約7万円 (2020/06/30 Yahoo Japan ニュース)
 FOXが、BlackBerry最後の端末となる日本オリジナルモデル「BlackBerry KEY2 Last Edition」を、6月30日に299台限定で発売する。価格は6万9800円(税込み)。
​ BlackBerry KEY2 Last Editionの本体にはシリアルナンバーが刻印されており、軽量かつ耐久性のあるアラミド繊維を用いた「Aramid Case」が付属している。Aramid Caseは0.65mmと薄く、「BlackBerry KEY2, Last Edition, JPN」の文字が刻印されている。
*「世界をより軽く、CFRPの3Dプリント技術で新たなモノづくりを切り開くArevoの挑戦(2020/06/29 MONOisr)
 CFRPへの期待が高まっている。既に航空機業界や自動車業界で採用が始まっているが、設計、加工、製造などモノづくりの全ての工程において、CFRPを扱うのはまだまだ難しいのが現実だ。熟練者による「カン・コツ」作業が中心となり、結果としてこれらの属人的なプロセスが高コストとなり、利用用途が広がらないジレンマを抱えていた。
 
 こうした状況を打破するため、Arevoは「Make The World Lighter(世界中のモノを軽くする)」をコンセプトとし、CFRPによるモノづくりのハードルを下げ、より広く普及させることを目指している。具体的には、CFRPの3Dプリント(積層造形)を行うプリント技術、ハンドを操作し事後処理の自動化などを行うロボティクス技術、そしてこれらを一貫して支えるエンジニアリングソフトウェア技術により、CFRPの設計から製造までのシンプル化を図り、リードタイムの大幅な削減を目指している。Arevoの技術を使うことで、CFRPによる設計から製造までのリードタイムは500分の1に、コストは20分の1に低減できるという。
 CFRPでのモノづくりを見ると、オブジェクトの設計から部品のセグメント化、CNC設計最適化、金型の設計、CNCツールパスの生成、CNC加工など、各工程で人手による試行錯誤が行われながら、プロセスを進めているというのが現状である。これらを合計するとデザインから仕上げまで18カ月がかかる。これらをソフトウェア技術、プリント技術、ロボット技術でシンプル化しようというのが、Arevoの取り組みだ。これらの製造技術と設計技術、さらに素材などの技術なども組み合わせることで、CFRPに関するプロセスを一気に簡略化できる点がArevoの強みである。
 製造までのリードタイムは2018年時点で2カ月に短縮、2020年中には1カ月まで短縮することができと考えている。さらに2022年までには数時間で完了するような形にまで高めていきたい。同様にプロセスを簡略化することで、2019年には完成品1kg当たりのコストは1857ドルだったが、2020年には866ドルまで下げる計画、2023年には95ドルまで下げられると考えている。こうなれば、今まで使えないと思われてきた領域でも使えるようになってくる。新市場の開拓を進めていきたい。
 プリンタそのものを販売するビジネスも考えてはいくが、現状では1億円以上と非常に高価なので、まずは、各地域に密着し完成品メーカーや素材メーカーとパートナーシップを結び、地産地消で造形サービスを展開することを考えている。既に日本国内にもプリンタは2台あり、現在提案を進めているところだ。業界に合わせた代理店などとも組んでいく。
「NEDO,「次世代複合材創製・成形技術開発」に係る実施体制の決定」 (NanotechJapan、2020/06/26)

 NEDOは2020年6月19日,次世代複合材創製・成形技術開発」プロジェクトのうち研究開発項目〔1〕「複合材時代の理想機体構造を実現する機体設計技術の開発」,研究開発項目〔4〕「超高性能SiC繊維の品質安定性向上に向けた開発」,研究開発項目〔5〕「1400℃級CMC材料の実用化研究開発」,研究開発項目〔6〕「高レート・低コスト生産可能なCMC材料およびプロセス開発」についての公募を実施し,提案された4件について審査を行い,4件の実施予定先を決定したと報じた.

 本プロジェクトでは,航空機の燃費改善,環境適合性向上,整備性向上,安全性向上といった要請に応えるため,複合材料等の関連技術開発を中心として,航空機に必要な信頼性,コスト等の課題を解決するための要素技術を開発する.

関連リンク https://www.nedo.go.jp/koubo/EF3_100149.html

「人工蜘蛛の糸」「人工筋肉」…南開大学の若手教授がイノベーションを起こす
  (人民網日本語版 2020/06/08)
 これまで作られた「人工筋肉」の繊維は主にナノカーボン材料などを採用しており、高コストで加工が複雑で快適性が低かった。劉氏は、従来のナノカーボン材料の代わりに天然の100%の生糸を利用し、化学修飾や添加剤を使用せず、一般的な工業の製作工程によりスマート衣料品を作ることにし、ハイドロゲル繊維による「人工蜘蛛の糸」の作成に成功した。この新材料は天然の蜘蛛の糸にほぼ相当する力学的性能を持つ。劉氏によると、ハイドロゲル繊維はポリアクリル酸で作られる。ポリアクリル酸には芯鞘構造があり、2価イオンを混ぜ加撚することで一定のより数が得られ、その強度が大幅に高まった。この繊維の引張強度は895MPa、伸縮性は44.3%、ヤング率は28.7GPa、靭性は370MJ/m3、減衰効率は95%にのぼる。
桝井注:これらの数値は、日本Spiber社の人工蜘蛛の糸繊維(Qumonos)のそれぞれの中間目標値の760MPa、40%、25GPa、  
     400MJ/m3とぼ同等。
bottom of page